ITやプログラミングの「エコシステム」とは何か?具体例でわかりやすく解説します。
こんにちは!
今井(@ima_maru)です。
IT業界やビジネス領域で意外と耳にするワードである「エコシステム」。
お仕事で「エコシステム」という言葉を初めて聞いたときは、「なんじゃそりゃ」と思ったのと同時に「難しい言葉使わんでくれい!」と思いました。
がしかし、実はこの「エコシステム」という言葉は、すごく便利で使い勝手もよい言葉なのです。そして、そこまで難しい意味でもありません。
今回はエコシステムの意味を理解するとともに、実際どのような場面で使うのかも理解していただこうと思います。
それでは見ていきましょう。
もともとエコシステムとは「生態系」という意味を持つ生物学の用語
エコシステムとは、もともと生物学において用いられる用語で、本来の意味は「生態系」です。英語に言い換えて「ecosystem」。
具体的には、同じ領域にいる生物や植物が互いに関わり合い、依存しながら生きている様子を表しています。
ここで重要なのは、「互いにメリットを与えながら存在するという依存関係」です。この意味だけを切り抜けば、生物学だけでなく様々なシーンに適用できる意味になります。(詳しくは下で説明します)
実際「エコシステム」という言葉は、生物学とは関係ないIT業界やビジネス領域などさまざまな分野で使われています。
もともとの意味は「生態系」だったのか。
IT業界やプログラミングにおけるエコシステムとは?わかりやすく解説!
エコシステムとは「互いにメリットを与えながら存在するという依存関係」だと言われても、「結局どういうこと?」と思う方が多いでしょう。
そんな方のために、実際のエコシステムの具体例を出して、わかりやすく解説していきます。
Googleが開発する「Android」におけるエコシステムの例
エコシステムを形成している簡単な例として、Androidのスマートフォンが挙げられるでしょう。
Googleは「Android」というスマートフォン用のOS/ソフトウェアの開発をしています。
この「Android」が製品として価値を持つのは、AndroidOSが動くスマートフォン端末があり、様々な繋がるネット回線があり、多くの周辺機器が対応していて、便利なアプリや楽しいゲームが豊富に存在するからですよね?
あくまでGoogleはAndroidというOSの開発を主としていて、それ以外の端末の開発製造(特に製造)や多くのアプリケーションの開発はほかの企業や開発者に任せているわけです。
要は何が言いたいかというと、Androidという製品においていろんな企業が助け合っている状態というわけです。さらに言えば、この助け合いによりAndroidの価値が高まり、互いにメリットを得られている状態というわけです。
こんなような「互いにメリットを与えながら存在するという依存関係」のことをエコシステムと呼びます。
今回のAndroidのエコシステムにおける登場人物(要素)は、以下の企業や製品ですね。
企業名 | 製品・サービス例 |
---|---|
AndroidOS, スマホ(Pixel), スマホアプリ, 周辺機器 | |
SONY | スマホ(Xperia), 周辺機器 |
Samsung | スマホ(Galaxy) |
Docomo | ネット回線 |
LINE | スマホアプリ/ゲーム, ネット回線 |
サイバーエージェント | スマホアプリ/ゲーム |
今の時代、すべてを自分たちで行うのはきついですからね。様々な企業が協力して、エコシステムが形成されていくのでしょう。
プログラミング言語「JavaScript」におけるエコシステムの例
プログラミング言語でもエコシステムという言葉はよく耳にします。
例として「JavaScript」のエコシステムの要素を紹介すると、以下のようなツールやフレームワークがあります。
カテゴリ | 例 |
---|---|
ビルドツール | gulp, webpack |
ライブラリ/フレームワーク | React, Vue.js, jQuery |
言語の拡張 | TypeScript, Node.js |
パッケージマネージャー | npm, yarn |
企業の貢献 | Facebook, Airbnb, Google, Microsoft |
あくまでJavaScriptはプログラミング言語であり、それを使ってサービスを作るとなればいろいろなツールやフレームワークなどを使うことになるのです。
そのため、エコシステムが進化している言語はそれだけ使いやすく、逆に言えば、新しい言語ほどエコシステムが進化しておらず使いにくい場面が出てきやすいのです。
新規開発案件でどの言語を使うかを決めるときに、よく「エコシステム」という言葉を聞きます。覚えといて損はないです。
エコシステムの誤用について
技術用語ではよくあることですが、実際に使われていくうちに、本来の意味から外れた使い方になっている場合があります。
また、そもそもエコシステムとは生物学の「生態系」という意味ですし、無生物に対して使っていいのかという問題もあります。
私の意見では、本来の意味とは少し違えど、多くの人が共通認識として持っている意味で使うならばよいと思いますが、その誤用を「気持ち悪い」という方も少なからずいます。
この話には深くは立ち入りませんので、興味がある方は以下の記事を見たりしてみてください。
そんなこんなで、記事を書く立場としてこういった用語の誤用については気を付けなければならないなと感じます。ご指摘もいただきたければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございます。