BaaS(Banking as a Service)とは何か?銀行の機能をクラウドサービスとして提供する!?
こんにちは!
現役Webエンジニアの今井(@ima_maru)です。
今回は、フィンテック業界で注目されている「BaaS」についてです。
BaaSと言っても、いくつか同じ名前の技術がありますが、本記事では「Banking as a Service」についての解説をします。
BaaSは開発者向けのクラウドサービスで、今後金融系やアプリ開発に関わる方は知っておいて損はない技術となっています。
それでは、BaaSとはどんなサービスなのか解説していきましょう。
BaaS(Banking as a Service)とは何か?
BaaS(Banking as a Service)とは?
まずは、「BaaS」(Banking as a Service)についての概要を見ていきましょう。
BaaS(Banking as a Service)とは?
BaaSの読み方は「バース」です。
略さずに言うと「Banking as a Service」(バンキング アズ ア サービス)です。
直訳すれば「サービスとしての銀行」となります。
具体的に言えば、銀行が提供する機能やサービスをAPI経由で提供するクラウドサービスといえます。
APIやクラウドがわからない方向けにめちゃくちゃかみ砕いて説明すると、「銀行の機能をプログラムに組み込める形で提供する」というサービスです。
BaaSはクラウドサービスの1つ
BaaSという文字列を見ると、「SaaS(サース)」「PaaS(パース)」「IaaS(イアース)」といったクラウドサービスを思い浮かべる方もいると思います。
それもそのはずで、BaaSもクラウドサービスの一種だからです。
これらの共通点として、クラウドを利用して「何か」を提供するという特徴を持っています。
BaaSにおいては、「Banking=銀行機能」をサービスとして提供するというわけです。
BaaSは「銀行機能」を提供する
BaaSは、銀行機能をクラウドサービスとして提供します。
「じゃあ銀行機能って具体的に何なの?」っていう話になりますよね。
銀行機能といえば、主に「預金」「為替」「融資」といった機能のことを指します。
- 預金:お金を預かる
- 為替:お金を振り込む
- 融資:お金を貸し出す
これらの業務を行うには銀行としてのライセンスや仕組みが必要ですが、BaaSを使えばその必要はありません。
簡単に言えば、既にある他社の銀行機能をBaaSとして使わせてもらうということです。
BaaSは一般向けではなく開発者向けのクラウドサービス
BaaSは、一般の方向けのサービスというよりは、開発者向けのサービスです。
要は、一般ユーザーが直接BaaSの恩恵を受けるとは少し違うというわけです。
では、BaaSの恩恵を受けるかのはどんな人なのでしょうか?
それは、アプリに銀行機能を組み込みたい開発者・企業です。
BaaSを使う、つまり他社の銀行機能をAPI経由で使うということができれば、自社内で銀行機能を持たなくてもよくなります。
そうすることで、銀行のライセンスや仕組みを持たなくてもよくなるのです。
このようにBaaSは、アプリに銀行機能は欲しいけど1から作る手間を省きたいという開発者や企業向けのサービスとなっているのです。
BaaSと呼ばれるクラウドサービスは他にもある【注意】
実は、BaaSと呼ばれるサービスは、本記事で解説しているBanking as a Service以外にもあります。
- Baas→Banking as a Service
- Baas→Backend as a Service
- Baas→Backup as a Service
- Baas→Blockchain as a Service
以上のように、同じ「BaaS」と略されるサービスでも、内容が全く違うので注意が必要です。
BaaSのメリットとは
BaaSのメリットとは?
BaaSの最大のメリットは、銀行機能を持たない他事業者であっても、BaaSで提供されているAPIを利用して、銀行機能を持つアプリの開発ができるようになることです。
このメリット深掘りすると、実は「BaaSを利用する企業側」にも「APIを提供する銀行側」にもメリットがあるということがわかります。
それぞれみていきましょう。
BaaSを利用する企業側のメリット
BaaSを利用する企業側のメリットは、「銀行機能を1から作る必要がない」ということです。
まず、銀行機能(預金、為替、融資等)を扱うには、銀行のライセンスが必要です。
また、ライセンスを獲得したとしても、銀行システムを構築する必要も出てきます。
そのため、自社で銀行機能を1から作るのは、多大なるコストを要することになるでしょう。
しかし、BaaSを利用すれば違います。
BaaSを利用すれば、他社の既存の銀行機能を利用して開発を進めることができます。
銀行のライセンスもいらなければ、仕組みもいりません。
要は、BaaSを用いれば、銀行以外の事業者でも比較的簡単に銀行の機能を持ったアプリが作れるということです。
銀行機能を持つアプリを開発したい企業にとっては、時間もコストも削減できるという非常に嬉しいサービスです。
APIを提供する銀行側のメリット
APIを提供する銀行側のメリットは、「BaaSによって新たな顧客を獲得できる」ということです。
少し難しい言葉を使うのであれば、「顧客接点の強化」です。
要は、「自社の銀行機能をAPIとして提供し、他事業者に顧客を獲得してもらう」という「間接モデル」ということです。
これはとても強力な手法です。
例えばLINEといったような日常的に使うようなアプリに組み込まれれば、それだけユーザーにとって身近な存在になることは間違いありません。
このようなアプローチは銀行だけでは難しいため、銀行側としては顧客獲得のためにAPIとして機能を提供しているということです。
実際そういった銀行機能を持つアプリの重要性が高まっていて、最近では、銀行機能を含むさまざまなサービスを組み込んだ「スーパーアプリ」といったワードもよく聞くようになってきました。
BaaS登場の背景と今後の活用方法
かねてからデジタル化が進展する中、金融業界でも既存の形態に頼るのではなく、オープンバンク化を進展させる必要性があるものとしてどんなサービスを提供するべきなのか模索していました。
そこで重要になったのが、オープンバンク化を進展させるために必要な、異業種のサービスと既存の金融サービスが連携できる金融プラットフォームです。
これまで銀行の機能は特定の金融サービスでしか利用できない状態でした。
しかし、BaaSが提供されることにより、銀行が提供する機能やサービスをAPIを介することでクラウドサービスとして提供することができます。
つまり、銀行以外の事業者も銀行が提供する様々な機能やサービスが利用できるようになるのです。
今後、BaaSはさらに活用されるようになるでしょう。
その理由は、スーパーアプリといった、銀行機能をもったアプリの需要が高まっているからです。
ユーザー目線ではあまり見えない部分で活躍するBaaSですが、これからのフィンテック企業で働くエンジニアとしては是非とも知っていたい技術です。
BaaSは多くの銀行や企業にとって非常に需要が高い金融プラットフォームです。
BaaSがさらに普及されるようになれば、決済手段が増えて煩わしい手続きを行う必要性が無くなり、その分コストや時間をかけることもなくなります。
フィンテックやキャッシュレス化の流れからBaaSの需要が高まるだけでなく、スーパーアプリの登場によってさらにBaaSが活用されるようになるでしょう。
様々な銀行機能を一つにまとめたスーパーアプリによって、基本的な決済はもちろん従来ではできなかった後払いや送金ができるなど忙しい人でも手元のスーパーアプリで操作できます。
必要な時以外は極力銀行に行かなくても決済ができるなど、これからの将来性が大いに期待できるでしょう。
以上「BaaSとは?銀行の機能をクラウドサービスとして提供する!?」でした!
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