組み込みシステムとは?特徴やメリットなどを具体例を使って解説!
こんにちは!
現役Webエンジニアの今井(@ima_maru)です。
皆さんは組み込みシステムや組み込み機器と聞くと、何を想像しますか?
私は「電子レンジ」がすぐに思い浮かびます。
今の時代、身の回りにある電化製品はほぼすべて組み込みシステムといっても過言ではなくなってきました。
今回はIoTと深くつながりのある、「組み込みシステム」というワードについて解説していきたいと思います。
この記事では以下のことについて解説しています。
- 組み込み機器とはなにか?
- 組み込みシステムとはなにか?
- 組み込みシステムの具体例
- 組み込みシステムと組み込みソフトウェアの違い
目次もありますので是非ご活用ください。
組み込み機器とは「特定の機能」を備えた電子機器
組み込み機器の定義は、以下のように表現されます。
- 特定用途向けに特化、限定した機能を果たす事を目的とした機器
- マイコンを中心に、センサやアクチュエータを持ち合わせてプログラム可能な機能を有するもの
簡単に言えば、「ある特定の用途に特化した電子機器」です。
特定の用途とは、温度計であれば「温度を測ること」、タイマーであれば「時間を測ること」です。
ほかにもこんなものも組み込み機器と言われますね。
組み込み機器 | 主な機能 |
---|---|
電子レンジ | 食品を温める/文字を表示する |
冷蔵庫 | 食品を冷やす/温度調節機能 |
エアコン | 冷房・暖房機能 |
自動ドア | 距離計測機能/開閉機能 |
冒頭でも書きましたが、ほとんどすべての電子機器は組み込み機器だといえます。
逆に組み込み機器ではない電子機器とはなんでしょうか ?
一番簡単な例は、パソコンでしょう。
組み込み機器と対照的なパソコン
組み込み機器と対照的存在とよく言われるのが、皆さんお使いのパソコンです。
パソコンは、CPU、メモリ、ストレージなどで構成され、組み込み機器とは違いセンサは搭載されていません。
あくまで汎用コンピュータであり、様々な用途に適応している必要があります。
そのため、パソコンには様々な機能を備わっています。
例えば、「文字を入力する機能」「画面を表示する機能」「音を出す機能」「インターネットにつながる機能」「外部機器とつながる機能」「データを保存する機能」...
このように、パソコンにある機能を数えていたら日が暮れてしまいます。
なぜこのように多くの機能が必要かというと、パソコン一つでいろんなことができる必要があるからですね。
パソコンは、いろんな人がいろんな用途で使うことを想定しているわけですから当然ですね。
一方、組み込み機器は先ほど書いたように「特定の機能」を備えていればよいのです。
このように、パソコンは様々な用途に向けて作られた汎用的な機器であり、組み込み機器はある特定の用途向けに作られた特化型の機器なのです。
スマートフォンは組み込み機器なの?
スマートフォンは組み込み機器と言われます。
ですが、パソコンと同様に汎用的な機能を持ち合わせているので、汎用型の機器なのではないかと思う方も少なくないでしょう。
私もそのように思い、少し混乱したことがありました。
結論から言えば、スマートフォンもまだまだ汎用的とは言えないのです。
例えば、パソコンのように自由にプログラミングができなかったりします。
組み込み機器と呼ばれるもののなかでは圧倒的に汎用的ではありますが、言ってしまえば「携帯電話の延長に過ぎない」ということです。
イメージとしては、専用の環境で作成されたアプリを組み込んで動く「ゲーム機」に近いかと思います。
組み込み機器のメリット
組み込み機器をPC等と比較した時に挙げられるメリットは、以下の2点が大きいでしょう。
- 生産コストの大幅削減
- 特定の質を高めることができる
組み込み機器は、いろんな機能を持たせなくていい分、生産コストが抑えられたり、その機能の質をより高めたりすることができます。
例えば家庭用ゲーム機では、「ゲームをプレイする」という機能に特化しているので、グラフィックがきれいであったり、動作が軽かったりします。
最近のゲーム機は3~5万円程度なのに対し、これと同等の性能をパソコンで引き出そうとすると、10万円を超えるぐらいになるでしょう。
大きさを比べても、ゲーム機の方が圧倒的にコンパクトですね。
このように、様々な機能がいらない分、ある特定の機能のみに注力して開発ができるというのが最大の強みです。
組み込み機器の定義は曖昧
組み込み機器の定義は、非常に曖昧な定義です。
例えるならば「家電」という言葉と同じぐらい曖昧な定義なのです。
そのため、「これは組み込み機器でこれは組み込み機器ではない」といった明確な定義はないと思って良いでしょう。
覚えておくべきことは、組み込み機器というワードには、汎用的な用途ではなく、ある特定の用途に使うという意味が込められているということでしょう。
組み込みシステムとは組み込み機器の仕組み全般
組み込みシステムというのは、組み込み機器の仕組み全般を言います。
なので、組み込み機器が内部でどうなっているのかを知ることこそ、組込みシステムを学ぶことになります。
組込みシステムの構成要素
組み込みシステムは「入力装置」「制御部」「出力装置」とそれらをつなぐ電子回路で構成されます。
- 入力装置(センサ等)
- 制御装置(マイコン)
- 出力装置(アクチュエータ等)
- それらをつなぐ電子回路
そして、実際に稼働するには、制御装置を動かすプログラムや電源などが必要になります。
後に紹介しますが、制御装置を動かすプログラムのことを組み込みソフトウェアと呼びます。
入力装置
入力装置には、例として以下のようなセンサがあげられます。
入力装置 | 受け取れる入力 |
---|---|
超音波/赤外線距離センサ | 物体との距離 |
温度センサ | 温度 |
湿度センサ | 湿度 |
光センサ | 明るさ |
加速度センサ | 加速度 |
これらのセンサはそれぞれ、自然界におけるアナログ値を入力として受け取ることができます。
制御装置(マイコン)
制御装置はマイクロコンピュータ(マイコン)と呼ばれるものです。
有名どころでいえば、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)やArduino(アルデュイーノ)などがあげられます。
このマイコンは、あらかじめ組み込まれたプログラムをただひたすら繰り返すということをします。
エアコンのプログラムの一部であれば、温度センサで受け取った温度値と目標温度値の差から出力電圧を変える、といった処理などが書かれます。
寒い時に暖房をつければ本気を出し、ある程度暖かくなってきたら緩める。
これを実現してるのは制御装置のおかげなのですね。
出力装置
出力装置には、例として以下のものがあげられます。
出力装置 | 機能 |
---|---|
LED | 光る |
モータ | 回る・動く |
スピーカ | 音が出る |
これ以外にもいろんなものがあります。
特に、エネルギーを物理運動に変換する装置のことを総称して、アクチュエータと言ったりもします。
組み込みシステムと組み込みソフトウェアの違い
組込みシステムとは、組み込み機器にかかわる仕組み全般のことをいいます。
そして組み込みソフトウェアとは、組込みシステムの構成部分の一つである、制御装置(マイコン)の中に組み込むプログラムのことを指します。
つまりは、
- 組み込みシステムとは、組み込み機器の仕組み全般
- 組み込みソフトウェアとは、制御装置に組み込むプログラム
こういうことです。
組み込み機器とIoTの関係性
最近よく聞くようになったIoTという言葉ですが、IoT機器と組み込み機器には深い繋がりがあります。
IoTについて書いた記事があるので、ぜひご覧ください。