SaaSとはなにか?メリット・具体例・IaaS/PaaSやWebアプリとの違いも解説。
こんにちは!
今井(@ima_maru)です。
今回は、クラウドサービスの一種である「SaaS」について解説します。
「クラウド」「クラウドコンピューティング」の技術を知っている前提で解説するので、クラウドについてあまりわからないという方は以下の記事も参考にしてみてください。
それでは解説していきます。
SaaS(Softwear as a Service)とは?特徴や具体例を紹介!
SaaS(サース、サーズ)とは、Softwear as a Serviceの頭文字をとった言葉で、ソフトウェアを提供するクラウドサービスです。
例えば、「Gmail」や「iCloud」といったサービスがSaaSに当たります。
SaaSはクラウドでソフトウェアを提供する
SaaSは、クラウドコンピューティングの技術の中でも、「ソフトウェア」を提供することを目的としています。
ソフトウェアとは何かというと、コンピュータで動くプログラムのことです。
例えば、Excelやメールといったようなものがソフトウェアで、少し意味は異なりますが「アプリケーション」というとイメージが湧きやすいかもしれません。
SaaSでは、このようなソフトウェア(≒アプリケーション)をクラウドコンピューティングの技術を使って提供するのです。
実際にGmailのソフトウェアは、クラウドサーバーで実行されていて、利用者はインターネットブラウザを用いることでその機能を利用することができます。
重要なのは「ソフトウェアがクラウドサーバー側で動いている」という点と、「その機能をインターネットを介して利用している」という点です。
SaaSは非開発者向けのサービス
SaaSはソフトウェアやアプリケーションを提供するサービスで、インフラや開発環境のみの提供をするIaaSやPaaSに比べ、より非開発者向けのサービスであると言えます。
例えば、AWSやGCPといったIaaS/PaaSのサービスはエンジニアの方やIT業界に興味のある方でないと知らないであろうサービスですが、GmailやiCloudといったSaaSのサービスは多くの方が知っているサービスでしょう。
非開発者向けという区分からさらに見ていくと、企業向け・一般ユーザー向けのSaaSに分かれるでしょう。
IaaSやPaaSについて知りたい方は以下の記事をご覧ください。
SaaSの具体例、有名なサービスを紹介!
SaaSに当てはまるサービスはいくつもありますが、その中でも有名なサービスについて紹介します。
この中には、ZoomのようにWebブラウザのみで利用できるかつPCにインストールして利用することもできるアプリがあります。
データ管理・オンラインストレージ
クラウドを利用したサービスとして「Google Drive」「iCloud」「Dropbox」などの「オンラインストレージ」があります。
自分の端末ではなくクラウドサーバー上でデータを管理するため、複数端末から同一のデータにアクセスが可能である、バックアップが容易に取れるといったメリットがあります。
また、データ容量を簡単に変更できるという大きなメリットも持っています。
メール
クラウドを利用したメールサービスは「Gmail」が有名でしょう。
企業では、自社内でメールサーバーを管理するという方法をとることがありますが、クラウド型のメールサービスはそれと対極的な方法といえるでしょう。
企業向けには「Exchange Online」「WebARENA メールホスティング」「メールディーラー」といったサービスも有名です。
チャットアプリ
クラウドを利用したチャットアプリは「Slack」「Chatwork」が有名でしょう。
企業内での連絡ツール、クライアントとの連絡ツールとして、ビジネスシーンで重宝されています。
通話アプリ
クラウドを利用した通話アプリは「Zoom」「Google Meet」「Discord」「Webex」あたりが有名でしょう。
今ではなくてはならない存在となりましたね。
業務システム
業務システムもクラウドサービス化しつつあります。
例えば、WordやExcelをクラウドサービス化した「Microsoft Office 365」、Googleの便利なアプリを集めた「Google Workspace」といったものが有名でしょう。
ほかにも、より企業向けに絞れば「Salesforce」という業務システムが有名です。
Webサイト構築
最近では、簡単にネットショップを開けるサービスが話題になってきました。
例えば、「Shopify」「MakeShop」「BASE」などが有名でしょう。
利用者は難しいことを考えることなく、自分専用のショッピングサイトを立ち上げることが出来ます。
クラウドゲーム
クラウドの面白い活用事例として話題になったのがクラウドゲームで「GeForce NOW Powered by SoftBank」が有名です。
クラウドゲームは、従来のクライアント側での処理をクラウドサーバー側に任せるという手法を用いていて、処理性能の低いスマホなどでも重いPCゲームをプレイできるという特徴を持っています。
様々な端末から同じゲームがプレイ可能なクロスプレイ環境にはもってこいの技術です。
SaaSとIaaS/PaaS、SaaSとWebアプリの違い
SaaS(クラウドアプリ)とWebアプリの違い
SaaSとは、インターネットを介してソフトウェア(≒アプリケーション)を提供するサービスなので、「Webアプリと何が違うのか?」という疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
ウェブアプリケーション(Web application)は、ウェブ(World Wide Web)技術を基盤としたアプリケーションソフトウェアである。
ウェブアプリケーション - Wikipedia
実際、「SaaS(クラウドアプリ)」と「Webアプリ」は共通点が多く、SaaS型Webアプリというような使い方もすることがあるため、非常に使い分けが難しいワードだと思います。
結論から言ってしまえば、強調していることが違います。
ワード | 強調していること |
---|---|
SaaS(クラウドアプリ) | オンプレミスではない・クラウドを利用する |
Webアプリ | ネイティブアプリではない・Webブラウザ上で動作する |
まずSaaSは、オンプレミスではないことやクラウドコンピューティングを活用していることを強調しています。
例えば、「自分のスマホじゃなくてクラウド上にデータを保存する」「必要なときに必要な分だけ利用することができる」といったようなクラウドの特徴やメリットを強調するために使われます。
一方Webアプリは、ネイティブアプリではないことやWebブラウザ上で動くことを強調しています。
例えば、「スマホアプリやデスクトップアプリではない」「Webブラウザさえあれば動作する」というようなことを表現するために使われます。
なので、「Gmail」はWebアプリでもありSaaSでもあると言えますが、「Webブラウザさえあれば使える」ということを強調したいのであればWebアプリと表現できますし、「メールがクラウド上に保存されている」ということを強調したいのであればSaaSと表現できます。
本記事では、SaaSの特徴やメリットを紹介していますので、そういった特徴を強調するためにSaaSやクラウドアプリといった言葉をつかっているんだなと思っていただければ良いと思います。
「Webアプリ」と「SaaS」の違いは気にしなくても良いことですが、僕自身ちょっと混乱してしまったので書いておきました。
SaaSとIaaSとPaaSの違い
SaaSと似ているクラウドサービスの技術として「IaaS」「PaaS」があります。
これらはとても関連性が高く、どれも1文字違いのワードであるため混乱しやすいでしょう。
これらのIaaSとPaaSとSaaSの違いは、クラウドサービスとして何を提供しているかです。
種類 | 何を提供するか | どんな人向けか |
---|---|---|
IaaS(Infrastructure as a Service) | サーバやストレージといったインフラ | 開発者 |
PaaS(Platform as a Service) | インフラを含む開発環境 | 開発者 |
SaaS(Softwear as a Service) | ソフトウェア | 一般ユーザー |
また、SaaSと比べてIaaSやPaaSは開発者向けのサービスとなっていることが特徴的です。
IaaSやPaaSについて詳しく知りたい方は、以下の記事で紹介しているのでぜひご覧ください。
IaaSとPaaSは開発者向けのサービスとして似ている部分がありますが、それらとSaaSは全くの別物なので注意が必要です。
SaaSのメリット・利点
インストールがいらない(場合が多い)
SaaSのメリットとして、「インストールがいらない」ということが挙げられます。
パソコンやスマホは、ソフトウェアやアプリケーションを使うとき、一度端末にアプリをインストールしないといけません。
つまり、端末上で使えるようにする作業が必要ということです。
しかし、クラウドサービスではもともとそういった環境が整っている環境を使えるため、インストールがいらないという利点があります。
例えば、Outlookというメールアプリはパソコンにインストールしないと使えませんが、Gmailはインターネットブラウザさえあれば使えますよね。
これは、クラウドサーバ上でメールアプリが動いているので、お使いの端末にインストールする必要がないということです。
メールに限らず、SaaSで実際にソフトウェアが動くのはクラウドサーバー側なので、クライアント側でインストールする必要がありません。
ただ、インストールして使う型のSaaSもあるので、一概には言えません。(スマホアプリは特に)
様々な機器からアクセスができる
SaaSを使ってデータを管理すると「様々な機器からのアクセスが可能」というメリットがあります。
これは、「デスクトップPC」「ノートPC」「スマホ」といった機器の観点からでも当てはまりますし、「家のパソコン」「職場のパソコン」といった場所の観点からでも当てはまります。
複数人でのデータの共有が簡単にできる
SaaSを使ってデータを管理すると「複数人でのデータの共有が簡単にできる」というメリットがあります。
これは、データが自分のPCに保存されているかクラウドサーバー上に保存されているかの違いからも分かるでしょう。
実際にGoogleドライブやDropbox上のデータを共有する場合は共有URLを渡せばよいだけなので、非常に簡単です。
データ移行がいらない
これもまたデータ管理の場合ですが、「データ移行がいらない」というメリットがあります。
例えば、スマホを買い替える場合に、古いスマホから新しいスマホに写真を移動させたい場合を考えましょう。
自身のスマホにデータを保存している場合はデータ移行作業が必要になりますが、クラウド上に保存している場合はその作業が必要ありません。
それは、スマホの中ではなくクラウド上にデータを保存しているからです。
新しいスマホからでもクラウド上のデータにアクセスすることが出来れば、どの端末かは関係ありませんね。
また、スマホをなくしてしまった場合でも、データまで消えることがないというメリットも持っています。
簡単にスペックを変更できる
クラウドコンピューティングの特徴として、「スペックを簡単に変更できる」ということがあります。
これは、ストレージ容量を増やしたりサーバーの処理性能を向上させたりすることです。
身近な例でいえば、オンラインストレージで20GBプランから100GBプランに変更するといったようなことです。
PCならまだしも、スマホの場合はスマホ内部の保存容量を増やすことは簡単ではありません。
そこで、SaaSであれば簡単にデータ容量を増やすことが出来ます。
利用者から意識しなくてよいからという理由もありますが、クラウドコンピューティング自体こういった作業がしやすい技術だという理由もあります。(スケールアップと言ったりもする)
技術自体に興味がある方は「仮想化技術」「スケールアップ」といった単語を調べてみてください。
クラウドサーバ側に高負荷の処理を任せることができる
これは、クラウドゲームなどに用いられる手法ですね。
例えば、高負荷のゲームはある程度処理能力が高いパソコンなどでしか動きませんね。
そこで、クラウド・コンピューティングの技術を利用すると、高負荷のゲームをいろんな端末でプレイすることができます。
それは、「クラウドサーバに高負荷の処理を任せる」という方法によって実現されます。
このように、コントローラーの入力をクラウド側が受け取り、クラウド側で処理され、画面情報や処理結果がお使いの端末に戻ってきます。
ポイントは「重い処理の部分をクラウド側のコンピュータが担っていること」です。
こうすることで、ユーザ側の負担が軽くなるので、スマホや性能のがあまり高くないノートパソコンといった重い処理を苦手とする端末でも、快適に高グラフィックのゲームなどができるようになるのです。
ほかにも、処理の重たい機械学習のためのオンラインツールや量子コンピューターを使えるサービスにもこういった手法が取り入れられていますね。
SaaSとは|まとめ
最近いろんなところで耳にする「SaaS」について解説しましたがいかがでしたでしょうか?
前提としてクラウドについて知っていないと難しい内容かと思いますので、クラウドのことが良くわからないという方は以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
最後までご覧いただきありがとうございます。