ポーカーGTO戦略を初心者向けに解説|実際の画像付きで他とは違う!
ポーカーで勝つために理解しておきたいのが「GTO戦略」です。あるシチュエーションにおいてどんなアクションが最適解なのかを示すのがポーカーのGTO戦略です。
とはいえポーカーのGTOは複雑な計算をペースに算出したものなので、専用ツールが必要になります。有料のソフトから初心者向けの無料アプリなどさまざまなツールが提供されています。
ここではポーカーのGTOについて、その概要と具体的な使い方を詳しく解説します。わかりやすく説明しているので、ポーカーで強くなりたい初心者の方はぜひご覧ください。
ポーカーのGTOとは
ポーカーのGTO(Game Theory Optimal)は相手に負けにくい最適解の戦略のことです。具体的には対戦相手に自分のハンドを推測させないための戦略となります。
ポーカーはプレイヤー同士がお互いのクセを見抜き対策を立てる(エクスプロイトする)ものですが、それに対して対策を立てるとプレイヤー同士が均衡状態となり弱点を狙うことが難しくなります。
この状態で相手プレイヤーに弱点を突かれることなくゲームを続けることがGTO戦略です。ちなみにポーカーのGTO戦略はヘッズアップ(1対1)の時に使用します。
ポーカーのGTOはナッシュ均衡に基づく
GTO戦略を使って勝負するポーカープレイヤー同士はナッシュ均衡状態にあります。
ナッシュ均衡状態にあるプレイヤーは、戦術を変えると勝利できなくなります。たとえば2人がじゃんけんをしているとしましょう。
お互いに「グー」「チョキ」「パー」を均等に出していると、相手のクセが出ないため勝敗はほぼ互角になります。しかし片方がたとえば「チョキ」を多く出すようになれば、相手がそれに気づいて「グー」を出す割合を増やすことでしょう。
つまり「グー」「チョキ」「パー」を出す割合は変更できず、相手より優位に立つことはできないことがわかります。この状態が「ナッシュ均衡」です。
具体的なポーカーGTOの使い方
ポーカーのGTOに関する理論はこのくらいにして、実際のポーカープレイでどのように利用するのかを説明します。
ポーカーGTOでできること
ポーカーGTOはリアルタイムで進行するゲームプレイで使うものではなく、特定のシチュエーションにおける最適解を学ぶために使います。
具体的には自分がプレイして負けた勝負は記録を残し、ポーカーのGTOソフト(あるいはアプリ)でそのシチュエーションを再現して分析します。
ポーカーGTOはソフトあるいはアプリにより設定できるシチュエーションに違いがありますが、基本的に6人マックスのノーリミットホールデムを対象としています。
ポーカーGTOの見方
ポーカーGTOは特定のシチュエーションにおいてどのようなアクションを取ることが最適なのかを示してくれます。
たとえばプリフロップにてBTN(ボタン)のポジションにいるプレイヤーが2.5bbをオープンしSB(スモールブラインド)はフォールド)、BB(ビッグブラインド)の自分は「K♧9♧」のハンドで11bbの3betを打ってBTNがコールしたとします。
フロップでボードに次のカードが開いたとします。
「8♧T♢9♤」
この時のGTO戦略における取るべきアクションは次のようになります。
次の2つの選択肢が提示されます。
- 7.4bet:48.3%
- チェック:46.8%
ともにEV(期待値)は8.5を示しています。ほかに取れる選択肢は次の3つがあります。
- 16.9bet:4.2%(EV 8.4)
- 33.8bet:0.3%(EV 6.7)
- 89.0bet:0.4%(EV 7.8)
優先すべきアクションはEVの高いものであり、ここでは「7.4bet」と「チェック」の割合が高くなっています。
よってこの場面で取るべきアクションは「7.4bet」または「チェック」となります。
NTPokerのGTOの使い方
まずはこれからの説明で使用する「NTPoker」のGTOにおける使い方をご紹介します。NTPokerはiOSもAndroidも無料で使えるアプリとして提供されています。
このようにメニューが表示されているので「GTOソリューション」を選択します。
このようにシチュエーションの選択画面が開きます。
シチュエーションはプリフロップでの「3bet」または「4bet」のどちらかを選びます。「2bet」は無料では使えません。プリフロップではオープンされていない(誰もベットしていない)時はとりあえず「3bet」を選びましょう。
「Player 1」で自分のポジションを選択します。
「Player 2」で相手プレイヤーのポジションを選択します。GTOツールはヘッズアップ(1対1)を前提としているので、複数プレイヤーがゲームに参加している時には使用できません。
自分のハンドを設定する場合には「ハンドを選ぶ」にチェックを入れて「ソリューションを確認」をタップします。
ハンドを入力する場合はこの画面が開きます。
1枚目を選択すると2枚目で選択できるカードが表示されます。ここに表示されていないカードを選びたい場合は最初の画面で「ハンドを選ぶ」にチェックを入れないでおきます。
フロップの3枚を入力する画面が開きます。
ハンドを選ばない場合はこのようにハンドレンジが表示され、ハンドそれぞれのアクションを選択する頻度(割合)が色でわかります。
ポーカーのGTO専用ツールを使う
さらにこまかくポーカーGTOツールの使い方を説明します。
※ 画像はアプリ「NTPoker」より
これはボードに「J♧J♢3♤」が開いた時のハンドそれぞれのアクションを示すものです。自分がUTG(アンダーザガン)で相手はBB(ビッグブラインド)のヘッズアップであり、ポットには22.5のチップがあります。
たとえば自分が「KJs(スーテッド)」のハンドであれば「KJs」をタップすると次のように表示されます。
ここでは80%ほどの割合でチップ16.3をベットすることを推奨しています。これがポーカーのGTOでは最適解であるこどを意味します。
ポーカーGTOツールの種類
ポーカーのGTOツールは実にさまざまなソフトが販売されています。無料で使える部分もありますが、すべての機能を使用するためには課金が必要です。また初心者には使いこなすのが難しいものも多いので、まずは無料で手軽に使えるものがおすすめです。
スマホアプリでもポーカーのGTOを学べるものが多数あるのでチェックしてみましょう。ここでは初心者にも使いやすい「NTPoker」を使って説明しています。
ポーカーのGTOをゲーム分析に使う
ポーカーのGTOソフトは実際に自分がプレイした内容を振り返り、それが適切なものであったかどうかを確認するといった使い方をします。自分が負けた時、どのようなアクションを取るべきだったのかを検証します。
例1 「AJs」での負け
こちらはGGPokerでのプレイ内容です。「AJs(スーテッド)」のハンドで相手の「K♡8♡」に負けています。
このシチュエーションをGTOに入力してみましょう。
相手のハンドレンジをチェックする
まず相手のアクションをチェックしてみます。
- 99ベット:0.3%
- 6.6ベット:1.6%
- チェック:98.1%
ほとんどのハンドでチェックが推奨されています。これが相手プレイヤーのGTO戦略です。
たとえば相手が「チェック」を選択したとしましょう。
これが自分のGTO戦略になります。「チェック」を選択することが最適であることを示しています。
では相手が「6.6ベット」を選択したら自分が取るべきアクションはどうなるのでしょうか。
「コール」が最適解であることを示しています。
相手のオールインに対するアクション
このポーカープレイで相手は実際に「オールイン」を選択しています。
この場合の自分が取るべきアクションは99.3%の確率で「フォールド」となっています。「コール」を選んでも「EV(期待値)」は「−1.9」とマイナスになっているので選ぶべき選択ではないことを示しています。
そして実際にこの勝負はプリフロップの時点では勝率が62.96%であったにもかかわらず負けています。
例2「JJ」での負け
「JJ」のハンドに対して相手の「55s」に負けています。このシチュエーションをポーカーGTOに入力します。
ここでは58.1%の割合で「16.9ベット」を選ぶことを推奨しています。EVは22.5となっています。実際には「チェック」を選んでいますが、その場合のEVも22.5になっています。
「16.9ベット」を選んだ場合の展開
もし16.9ベットを選んでいたらどのように展開していたのかを見てみましょう。
相手プレイヤーのGTO戦略は次のようになります。
- 89.0レイズ:7.3%
- 56.3レイズ:0.8%
- 35.5レイズ:0.4%
- コール:48.9%
- フォールド:42.5%
ここでもし相手が「89.0レイズ」を選択したなら次のようにコールを選択すべきことが示されます。
自分のチェックに対する相手のGTO
実際のプレイではチェックを選択しているので、この場合の相手のGTOは次のようになります。
51.0%の割合でチェック、47.8%の割合で7.4ベットが推奨されています。
相手のオールインに対するGTO
実際には相手がオールインの選択をしました。
この場合、自分が選択すべきは「コール」であり、EV(期待値)は49.6となっています。よって実際のプレイにおけるコールはポーカーGTOとしては最適解であったことがわかります。
結果的にはリバーで「5」が出たために相手のスリーカードに負けることになりましたが、GTO戦略としての選択は間違っていません。
例3「KJo」で負け
「KJo(オフスーテッド)」で負けていますが、相手プレイヤーにも役は出来ていません。この場合ポーカーGTOとしてはどのようなアクションが最適だったのかを分析してみます。
自分のハンドレンジ
まずは上記のシチュエーションでのハンドレンジをポーカーGTOを使って表示してみます。
自分ほハンド「KJo」を見るとGTO的には次のアクションが示されています。
- 17.2ベット:20.0%
- 7.6ベット:51.8%
- チェック:28.1%
今回のプレイで選択した「100レイズ」は「34.5ベット」に近いので、これを選択してみます。
これが相手プレイヤーのGTO戦略になります。63.7%の割合でフォールドする可能性がありましたが、実際には「コール」を選択しています。
ターンでのGTO戦略
ターンでのGTO戦略は次のように展開します。
84.9%の割合で「チェック」が示されます。実際にチェックを選択しているので、これを選んでみます。
相手のGTO戦略がこちらになりますが、47.9%で「チェック」、52.1%で「54.5ベット」を示しています。仮に相手がベットを選択していた場合、このアプリでは次のソリューションは残念ながら展開されません。
リバーでのGTO戦略
実際に相手はチェックを選んでいるので、そのとおりに入力します。
このようにリバーでは96.4%の割合で「チェック」を選ぶべきと示されます。仮に「23.0ベット」を選んでいたら相手のGTO戦略は次のようになります。
もし相手が「54.4ベット」を選んだならば、自分のGTO戦略は次のようになります。see
71.7%の割合でコールを示しています。そこでコールしていたら、今回の場合は負けているので損失はさらに拡大していたことになります。
例4「JJ」で勝ち
「JJ」のハンドで勝利していますが、もっと大きなポットが取れたのかどうかをポーカーGTOを活用して調べてみます。
フロップでのGTO戦略
まずSBである相手プレイヤーのGTO戦略ですが、62.3%の割合で「7.6ベット」が示されています。ただ実際にはフロップで3betされているわけではないので、さほど強くないハンドを持っていると推測できます。
ここでは相手プレイヤーはチェックを選択しています。
相手のチェックに対する自分のGTO戦略は次のように示されています。
- 7.6ベット:42.9%
- チェック:57.1%
より大きなポットを獲得するためには「7.6ベット」を選択します。
相手プレイヤーのGTO戦略では「コール」が最適と示されるので、ベットしても大丈夫であることがわかります。
ターンでのGTO戦略
相手プレイヤーには「チェック」が87.0%の頻度で示されます。
相手プレイヤーのチェックに対して自分のGTO戦略としては次の選択肢が提示されます。
- 12.6ベット:1.8%(EV 64.7)
- チェック:98.2%(EV 64.8)
期待値はわずかにチェックが上回りますが、その頻度としては98.2%が示されます。
相手プレイヤーからすれば、ここでベットするとなれば相当に強いハンドを持っていると推測されることになるでしょう。
ただし「12.6ベット」を選択しても、相手プレイヤーには66.3%の割合で「コール」が最適であると示されます。
リバーでのGTO戦略
自分がチェックを選んだ場合、次のようになります。
- 9.8ベット:39.2%
- チェック:57.9%
9.8ベット以上を選択すると相手プレイヤーには次のような選択肢が示されます。
つまりベットすると相手側に有利になることがわかります。今回は結果がわかっていますが、この場面ではチェックするのが最適であると判断できます。
たとえばここで相手が38.2ベットしたとします。
その場合にはフォールドすることを推奨されます。
つまり実際のプレイと同じようにリバーではチェックするのが最適解であることがポーカーGTO戦略から確認できます。
ポーカーGTOで先の展開をシミュレートする
ポーカーGTOアプリを使うと実際の自分のプレイを振り返って分析できます。その結果、どのようなアクションを取るべきだったのかを確認できます。
さらに別のアクションを選択していたら、相手プレイヤーはGTO戦略に従うとすればどのような選択をする可能性が高かったのかも確認できます。
状況によってはブラフすべきかどうか迷う時がありますが、そのブラフが効果的なものかどうかもGTOアプリを使えば検証できるでしょう。最終的に相手プレイヤーがGTO戦略的にフォールドを選択する可能性が高く表示されていれば、そのブラフは正解であることがわかります。
ポーカーのGTOアプリでトレーニングする
ポーカーのGTOソフトあるいはアプリでは、過去にプレイしたゲームの分析がてきます。その検証を数多く積み重ねることでシチュエーションごとにどんなアクションを選ぶべきなのかを体感的に判断できるようになります。
ポーカーGTOアプリにはGTO戦略をさらに自分自身に定着させるためのトレーニングもあります。実際にプレイをしてあとで検証することも必要ですが、リアルタイムで自分の選択が最適なものであるかどうかを判断できる便利なツールなので活用しましょう。
ポーカーGTOトレーニングのやり方
ここでは「NTPoker」でのトレーニング方法を説明します。
シチュエーションは次の中から選択できます。
- Any
- 2bet
- 3bet
- 4bet
ほかにもいろいろ設定できますが、ここではすべて「Any」を選択しておきます。
例1「A5s」でのケース
「A♤5♤」のハンドでプリフロップでは4betをしています。ボードには「J♡3♧K♧」が開いています。
ここで「チェック」を選んでみましょう。
ここでは100%チェックを選ぶべきことを示しています。
CO(カットオフ)のポジションにいる相手は12.2bbをベットしました。そこで「フォールド」を選んでみます。
フォールドが100%と示されているので正解であったことがわかります。相手プレイヤーは「A♢8♢」を持っていたことが示されています。
例2「QJs」のケース
こちらもプリフロップでは4betが行われポットには42.0bbのチップがあります。すでに「Jのペア」が出来ています。
相手プレイヤーが「A」や「K」を持っている可能性があることとターンやリバーでそれらのカードが開く可能性があることから、ここでは大きくベットしたくないと考えます。
一方でこちらのアドバンテージも相手に印象付けたいので、ここは「21.0ベット」を選択してみます。
このようにポーカーGTO戦略では21.0ベットの選択肢は0%であることを教えてくれます。選択肢は次のようになっています。
- 10.5ベット:30.4%
- チェック:69.6%
EV(期待値)は−0.38bbとなっています。
例3「ATs」のケース
「ATs(スーテッド)」とかなり強いハンドではありますが、相手はUTGという不利なポジションであるにもかかわらず4bbをベットしています。
もしかするとペアハンドを持っている可能性もありますし、一方で自分はまだ役が出来ていません。かといってここでチェックし相手に大きくベットされるとフォールドせざるを得ず、次のボードを見ることができないでしょう。
そこで12.2ベットを選んでみます。
GTO戦略としては「チェック」が最適解であることを示されます。
相手プレイヤーはチェックしターンでは「J♢」が開きます。
リバーで「Q」が開けばストレートですが、もちろんその可能性は極めて低いものです。ここはチェックを選びます。
このようにチェックが97.1%でポーカーGTOとしては最適解であることを確認できます。
相手プレイヤーはチェックを選択しリバーへ進みます。
最後のカードは「6♡」が開きます。相手プレイヤーにも役が出来ていなければ勝つ可能性が高いのでブラフのベットをする手もあります。しかしUTGの相手が参加していることからすでにペアハンドを持っている可能性も考えられます。
そこでチェックし、相手にベットされたらフォールドすることとします。
このようにポーカーGTO戦略としては67.4%の割合でチェックが最適であることが示されます。
相手プレイヤーもチェックし、そのハンドは「A♤T♤」であったことを確認できます。
常にポーカーはGTO戦略に従うべき?
ポーカーのGTO戦略は必ず理解を深めておくべき理論ですが、これは相手プレイヤーも同じくGTO戦略をペースにプレイしている時に効果を発揮します。
つまりGTO戦略を知らない、あるいは十分にマスターしていないプレイヤーに対しては必ずしも機能するわけではありません。
そのような場合、相手プレイヤーには何かしらのクセが見られることになりますし、その弱点を突いた「エクスプロイト戦略」が有効になる場合があります。
エクスプロイトはGTOとの優位性を議論されるものですが、どちらが優れた戦略であるかを判断することはできません。確かなことは初心者に対してエクスプロイト戦略を用いると大きなリターンが期待できるということです。
ポーカーはGTO戦略を活用してスキルを磨こう
ポーカーはGTO戦略を理解すればシチュエーションごとに最適なアクションを選べるようになります。その結果として大きく負け越すことも少なくなるでしょう。そのためにはポーカーGTOツールで自分のポーカープレイを分析したり、あるいはトレーニングによってすぐに取るべきアクションを判断できるようにしたりすることが必要です。まずは無料で使えるポーカーGTOアプリを使って実際に利用してみてはいかがでしょうか。