AIで株価予測ができる!仕組みをわかりやすく解説!
こんにちは!
今井(@ima_maru)です。
日常生活でもたびたび話題に上がるAIですが、 このAIが株式投資の分野でも活用され始めています。
今回は、AIの中でも株価の予測を可能にする機械学習のモデルや仕組みについて、わかりやすく説明したいと思います。
そもそも株価とは何なのか?
先に、 株価についてざっくりと説明をします。
株価とは?
株価とは、株式を発行している各企業の株式1つあたりの値段のことを言います。
上場している企業の株式は、証券取引所で自由に売り買いすることができ、 その株式を買いたい人と売りたい人で株価が決まります。
つまり、株価は需要と供給で株価が変動するということですね。
- 需要が増加 → 株価は高くなる
- 需要が減少 → 株価は低くなる
- 供給が増加 → 株価は低くなる
- 供給が減少 → 株価は高くなる
この株価の変動や推移を予測できれば、安い値段で株式を買い高い値段で売るということで利益が得られますね。
この「売値-買値」の利益を値上がり益と言ったりもします。
株価の変動はどうして起こるのか?
株価はオークションのように株式を買いたい人がたくさんいると上がり、逆に売りたい人が多くなってしまうと下がります。
このような株価の変動には、以下のような要因が関わってきます。
- 株式を発行している企業の業績
- 景気や為替などの経済的な要因
- 多額の取引を行っている人の動向
このような要因が需要と供給に影響を及ぼし、株価が変動します。
どのように株価を予測するのか?
株価を予測する方法はいくつかありますが、その中でも代表的な方法を紹介します。
- テクニカル分析
- ファンダメンタル分析
それぞれ詳しく見ていきましょう。
テクニカル分析とは?
テクニカル分析とは、将来の株価を過去の株価の変動パターンから予測する分析手法です。
極端な例ですが、 以下のような場合を想像してみてください。
- 「急激な株価の上昇」→「急激な株価の下落」
- 「急激な株価の上昇」→「急激な株価の下落」
- 「急激な株価の上昇」→「急激な株価の下落」
- 「急激な株価の上昇」→「???」
この「???」には急激な株価の下落が来そうですよね。(こんな単純ではありませんが。)
このように、「株価がこのように変化した場合、その後はこのように変化する」というようなパターン見つけ出していく手法がテクニカル分析のイメージに近いでしょう。
実際、テクニカル分析は株式投資の世界でよく使われています。
本記事では、このテクニカル分析をAIに適用することを考えます。
ファンダメンタルズ分析とは?
テクニカル分析の他にも、ファンダメンタルズ分析といった手法があります。
ファンダメンタルズ分析とは、企業の業績や資産、負債(借金)の財務状況などから本来の企業価値を評価して、今の株価と照らし合わせる分析方法です。
この分析方法は、長い目で見た将来の株価を重視したものであり、効果が現れるのに時間がかかるとされています。
また、企業の業種や事業の特性などが様々で、それらデータの定量化が課題になるため、AIへの応用が難しいと言えます。
AIで株価予測ができる仕組みとは?
ここからは、テクニカル分析を適用した、AIでの株価予測の手法を紹介します。
AIの株価予測では、主に以下のようなステップで株価を予測します。
インターネット上から過去の株価データを大量に取得します。
大量のデータを使って、株価の予測モデルを学習させます。
学習済みの予測モデルを用いて、現在の状況から将来の株価を予測します。
各ステップを詳しく見ていきましょう。
過去の株価に関するデータを収集する
まずは、予測モデルを学習させるためのデータを収集します。
具体的には、実際にこれまで取引されてきた株価のデータでが必要です。
このような株価情報は、Webサイト上に公開されているため比較的簡単に入手できます。
ここでは、無料でデータが取得できるWebサイトについて2つ紹介します。
「株式投資メモ」は、1983年以降の特定の株価情報をCSVファイルでダウンロードできるため、株価を時系列データとして扱う際にはおすすめです。
「無尽蔵」は、その日の様々な個別の株式の情報をまとめたファイルがCSVでダウンロードできます。時系列データとして扱う場合はファイルの加工をする必要があります。
収集したデータから予測モデルを学習させる
次は、予測モデルを実際に学習させます。
予測モデルとしては、「株価が上がるか下がるか」の2値を予測するものが一般的です。
具体的には、「RNN」や「LSTM」といったニューラルネットワークと呼ばれるモデルを使います。
学習方法としては、教師あり学習という機械学習の手法が用いられます。
予測モデルを用いて、株価が上がるか下がるかを予測する
最後に、学習済みの予測モデルを使って株価を予測します。
様々な要因があり将来の株価を正確に予測することは難しいので、決められた期間に現在の株価が上がるか下がるかの2値を予測する手法が一般的です。
予測を可能にする機械学習モデル
株価の予測精度は機械学習モデルによって大きく左右されるため、扱うデータや出力として得たい予測データに基づいてモデルを決める必要があります。
今回は、時系列データを扱う代表的な2つのモデルについて簡単に紹介します。
時系列データを扱うRNN(Recurrent Neural Network)
時系列データを扱う場合、 モデルにはRNNを用いると効果的だと考えられています。
RNNは前の時刻の中間層の値を次の時刻の中間層の入力としてあたえる構造を取るため、 時系列データ特有の前の時刻の手掛かりを得て予測することができます。
イメージとしては直前の株価だけではなく、その直前の何分か前の株価すべてを参考にして予測するモデルです。
例えば、過去10分までの株価を手がかりとする場合、現在、1分前、2分前・・・10分前の株価をもとに、1分後の株価を予想します。
しかしながら、RNNには長期間前のデータを手がかりとして利用すると学習がうまくいかなくなる問題があります。
長期間の時系列データを扱えるLSTM(Long Short-Term Memory)
RNNの長期間前のデータを手がかりとして学習するときに発生する問題を解決したのがLSTMになります。
LSTMは入力された前の時刻の手がかりを取捨選択する機能をもったブロックが連なる構造になっています。
LSTMはRNNと同様に直前の何分か前の株価を参考にして予測するのですが、ブロックの中にある過去の情報を忘れる仕組みと、入力、出力を処理する仕組みによって時系列データをうまく学習・予測します。
従ってLSTMは株価予測のモデルとして広く用いられています。
AIによる株価予測のメリットとデメリット
AIによる株価予測にはメリットとデメリットがあり、それらを理解して開発、運用する必要があります。
考えられるAIを活用することのメリット、デメリットをまとめてみました。
AIによる株価予測のメリット
AIによる株価予測のメリットは、以下のようになります。
- 専門的な知識や経験によらず予測が行える
- 人間以上の分析力が期待できる
過去の株価のデータによって予測を行うため、 株についての知識がさほどなくても専門家と同等、 またはそれ以上の精度で予測ができる可能性を秘めています。
AIによる株価予測のデメリット
一方、AIには以下のようなデメリットもあります。
- 予測性能が学習データに依存する
- 突発的な出来事(例外)に対しての予測はできない
- 予想結果の根拠がわからない(ブラックボックス化)
機械学習では、学習データの質や量によって予測精度が大きく異なるため、 同じ学習モデルであってもうまく予測ができないことがあります。
また、企業の業績や災害などの、外部的な影響による株価の変動は予測が困難です。
このようなAIによる株価予測は、 うまく予測ができた場合でもなぜ株価が上がるか、 または下がるかの根拠がわからないという欠点があるため、 根拠を説明することができるAI の開発も課題となっています。
AIの株価予測の的中率は60%越え?
一定の期間に株価が上がるか下がるかの2値を予測した場合、 一般的には予測正答率50%~60%ほどだと言われています。
しかしながら、実際はどのくらい上がるのかまたは下がるのかも重要なのでどうとも言えません。
ただ今後、AIによる株価予測による株の自動売買が主流となっていくとも言われています。
また個人の投資家に向けた株の運用を支援するサービスも登場しているため、非常に注目の分野です。
AIで株価予測のまとめ
AIで株価が予測できる仕組みについて、イメージがつかめたでしょうか。
多くの人が、様々な分析方法によって株価を予測しようとしています。
今回は、その分析方法の1つであるテクニカル分析をAIに適用した手法について紹介しました。
AIによる予測を行うには、以下のような流れになります。
過去の株価を時系列データとして取得する
収集した株価データをもとに機械学習を行い、将来の株価を予測
予測結果をもとに将来株価が上がりそうならその株を買い、下がりそうなら売る
予測モデルには「RNN」と呼ばれる時系列データを学習することができるモデルや、「LSTM」と呼ばれるRNNの問題点を解決したモデルなどがよくつかわれています。
- RNN(Recurrent Neural Network):時系列データを扱う
- LSTM(Long Short-Term Memory):長期間の時系列データを扱える
以上「AIで株価が予測できる!仕組みをわかりやすく解説!」でした。